2009年5月31日日曜日

薔薇


 薔薇、薔薇、薔薇。バラだらけ。よく数えてみると、50本以上のバラが植わっている。毎日、新しい花が開花してゆく。いろんな種類のいろんな色のバラ。庭には芳香が漂っている。
 しかし、植物も結構手がかかるものなのだと実感するこの頃。つい2週間ほど前にはバラの葉の表面が白く変色していたので、そのためのスプレーを散布しなければいけなかった。昨日はさくらんぼの木に大量のハダニが付着しているのを見つけた。害虫用の薬を買わねばならない。バラの葉にもオレンジ色の小さな卵が並んでいるのも見つけた。これも薬。なんというか毎日毎日、結構目をかけてやらないといけないのね。
 明日はヒンガミの家族とベティの家族を招待して、グリルパーティー。新しい家のお披露目パーティーでもある。さっきケーキのスポンジを焼いた。ラザニアのソースも作った。パーティーは楽しい。でも用意はいつでも大変。夜中にこせこせケーキなんて焼いていると、学生時代の一夜漬けの試験勉強の気分になってしまう。
 とにかく明日はお天気になって、そしてみんなが楽しんでくれるといいんだけど。

2009年5月24日日曜日

四季



すかっと雲ひとつなく晴れた空。日差しがきつい。家にいると肌寒いくらい。でも外に出ると、肌がひりひりするような太陽。ドイツには日本のような四季がない。
 日本とは四季のはっきりした気候なのだと、改めて思う。春から夏の間に梅雨があるというのも関係しているのかもしれない。梅雨が終わり、下から上昇してくる高気圧の力が勝ると夏が来る。そして蝉が鳴き始める。ドイツはと言えば、4月中旬くらいから20度を超える暑いような日もやってくる。でも大抵の夏は、5月から7月の間、絶えられないような暑さの日が1から2週間ほどあるだけ。後は日本的に言えば春か夏か分からないような日が続く。
 日本のうだるような暑さからみると、それはそれで羨ましいのかもしれない。でも日本で生まれ育ったものとしては、やはりうだるような暑さや蝉の鳴き声や、夕方の水撒きの後の湿った匂いが懐かしくなる。だから皆に「何でまた夏に。。。」と言われながらも夏に一時帰国するのを決めてしまった。
 しかしそれに付き合わされる子供たちと北海道出身の夫には、つらいだろうな。あの暑さと、それからクーラーの冷たさ。それでもやっぱり日本の夏は楽しいと思うなー。

2009年5月21日木曜日

親友


 5歳になる娘のレイには親友のパミがいる。レイとパミは誕生日が5日違い。まだ3ヶ月という赤ちゃんの時に、私とパミのママのヒンガミは知り合い、それからはずっと何をするのも一緒だ。幼稚園にも仲良く行って、ずっとずっと一緒に遊んでいた。
 でもその関係がちょっと変わってきつつある。二人の間に、ララという女の子が入ってきた。ララも同じ5歳。三人姉妹の末っ子で明るく奔放な感じの女の子だ。最近は迎えに行くと、大抵レイとララが一緒にいる。そしてパミは一人でお花を摘んだりしていることが多い。レイに聞くと、三人というのがパミには許せなかったり、ララもちょっと性格の難しいパミを敬遠したりすることもあって、三人一緒に遊ぶことはどうやら稀なよう。ヒンガミはもちろん気にしていて、「パミにも新しい友達が必要なのかもしれない。やっぱり一年早く小学校にいれようかしら。(8月が新学期のドイツでは9月から12月生まれの子は、一年早めて入学できる)」という。本当にそうなればかなり私としては悲しい。ヒンガミと私は二人でいろんなことをしてきたし、二人だからこそ外国人(ヒンガミはイラン出身)であるにもかかわらず、様々なところにも積極的に参加できた。これからは互いに一人で頑張らなければいけない。
 いやそんなことよりも、やはりレイとパミが距離を置くようになったしまったのは寂しい。でも成長する過程において、もちろん必要な段階なのだろう。レイもパミも自分で他の友達との関係を築いてゆかねばならない。レイにとっても良いことのはずだ。そもそもがレイがララと近づいたのは、パミから距離を置くためだったと思う。パミは急に不機嫌になることがあって、そうすると理由もなくレイをつっぱねる。「今は一緒にいたくないから、あっちへ行ってよ」ってな具合。レイはそれに慣れていたと思うけど、でも悲しくないわけがない。それにパミは何でも自分で仕切らなければ気がすまないので、二人の関係ではいつもパミが主導権を握っていた。レイとララを見ていると、二人は本当に楽しそうに遊んでいる。対等な関係なのだ。そう思うと、パミとレイの関係が変わってしまったことを、私は悲しく思うべきではないのだろう。
 もちろんパミとレイはまた親友という関係を取り戻せるかもしれないし、そうなればいいと思う。でもまあ、こういうことは親の思惑通りに運ぶものではないだろうし、ただ見つめていることしかできないのだ。

2009年5月17日日曜日

シャクナゲ

 朝から雨が時折ちらつく冴えない天気。でも太陽が顔を現した隙を見て子供と庭に出ると、キッチンの横のバラがいくつか咲いていた。美しい濃いピンク色。レイの好きな色だ。さっそく摘み取ってあげると喜んでいた。
 シャクナゲが溢れんばかりに咲いている。薄い紫と赤に近いピンク色の二本。日本の実家の庭を思い出す。子供の頃、春の庭にはツツジが咲き乱れていた。様々な色のつつじで庭は絵具をまぜたパレットのように色が鮮やかに躍っていた。いつからか、つつじは零れ落ちるほどの花をつけなくなった。なぜだろう。
 この庭には、子供の頃を思い出す木がいくつかある。前の持ち主はアジア的なドイツ人にとってはエキゾチックな植物をも好んだらしい。立派な垂れ紅葉が裏庭にある。実家にあった垂れ紅葉とは少しちがうけれど、私にはとても懐かしい。

庭の植物

 庭のバラのつぼみが少しずつほころび始めている。今の家に引っ越したのが2ヵ月半前。まだまだ冬の寒い時期だったので、庭にどんな植物が植わっているのか全く分からなかった。少なくとも20本以上のバラと、庭の小道を覆うブドウだけは分かったのだけれど。。。
 そして今、春を迎え夏もそろそろ近づいてくる頃、庭は大変な騒ぎになっている。ぎっしりと植えられた(ていると思った)バラの下からは夥しい植物が生えてきている。早春にはマツユキソウが春の訪れを予感させてくれた。その後はクロッカス、ラッパ水仙。そして忘れな草。何も手入れをしていないのに、次々と現れてくる花たちにちょっと戸惑い気味だ。気づけばぎりぎりまで刈り込んだ蔓バラももう70センチぐらい蔓をのばしている。いやいやすごい生命力。
 今日は午後から、レイの友達のララとマリレナが急に遊びに来た。近所におばあちゃん宅があるのでついでに寄ったらしい。案の定、「遊んで行きたいよー、ママいい?」とせがむ二人。ママは「エー、いいかしら?」とこれも期待満々。「いいですよ、二時間ぐらいしたら迎えに来てください」と快諾。歓声を挙げて三人は家の中に走りこんでゆく。
 屋根裏は今のところ何も置いていないので、そこで三人でこそこそ遊んでいる。ホットケーキを焼いてあげると、「おいしい、おいしい」とまたたくまに皿がからっぽになった。日本のホットケーキはとても好評なので、次に一時帰国したらたくさん買ってこよう。
 その後、皆で庭に出て花を集め、石で潰してから、それをしぼって絵具を作った。なかなか濃い色がでないのだけど、三人とも結構根気よく作っては楽しんでいた。
 トウも三人に邪魔者扱いされながらも、それなりに楽しんでいた様子。愉快な午後だった。