2009年9月29日火曜日

「語り」と「騙り」

「語り」とは「騙り」である。そのことを思い出させてくれる本に時々出会う。今回読んだ歌野晶午著『葉桜の季節に君を想うということ』もそうだった。推理小説なので、種あかしをするのは控えるけれど、見事に騙された。それは「犯人が思いもかけない人だった」とかそういう騙しではない。物語を読んでいくにつれ、読者は自らの想像によってその物語の世界を作り上げ、その世界に入り込んでゆく。その作り上げた想像の世界が、ある一点でぐしゃっと潰される。そういう騙し。
 アゴタ・クリストフの『悪童日記』をはじめ『ふたりの証拠』『第三の嘘』というのは、その「騙り」の物語の代表作で素晴らしい作品だ。初めて読んだとき衝撃を受けた。「書くこと」「語ること」とは何か、ということを深く考えさせられた。推理小説ではアガサ・クリスティの『アクロイド殺し』なんかもその手の騙しとしては有名ではないだろうか。
 で、今回の『葉桜の季節に君を想うということ』にも騙されたわけだけど、私としてはあまり気持ちのよい騙されかたではなかった。日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞を受賞しているのだから、その騙しのテクニックは評価されているのだろう。でも種明かしの時点で、自分の想像世界が衝撃的にぐしゃっとつぶされるというより、ぐにゃりと歪められたような、もしくは変な色を付けられたような不快な気分がした。再読してみると、その騙し方も稚拙な気がする。本の帯には「これが現代のミステリーのベスト1です」なんて書いてあるけれど、それにしてはあまりにもお粗末で、他にももっとすぐれた推理小説はあるはずだと思う。

2009年9月27日日曜日

はりねずみ


昨日、庭の掃除をしていたらハリネズミに遭遇!ドイツにはハリネズミがたくさんいるはずなんだけど、私は今まで出会ったことがなかったので、大興奮。家に駆け込むと、大急ぎでカメラをとって来てハリネズミの前にしゃがみこんだ。私の勢いに怖気づいたのか、ゆっくりと逃げ出すハリネズミ。何とか撮れたけど、その後茂みの中に隠れてしまった。
 しかしハリネズミ君、君だったんですねー。落ちているリンゴを一生懸命齧ったのは!鳥でもないし、猫がリンゴ?と頭をひねっていたのでした。それに猫のものより小さいし、臭くもないウンチ。ああ、夜にはきっと我が物顔でウチの庭を散歩しているに違いない。。。まあ、カワイイからいいか。
 昨日は子供たちも、庭の掃除を手伝ってくれました。玄関先がなんだか汚くてみすぼらしいのが気になっていたので、秋の花、エリカも飾ってみました。秋の花って、ほとんどエリカか菊しかないのです。でも日本人としては菊を庭に飾るのって何だか違和感がある。で、エリカ。ここにカボチャとか置いて、もう少し秋っぽいデコにするつもり。

2009年9月23日水曜日

トウ


トウは最近、朝に幼稚園で私と離れるとき「ママー、ママー」と泣いてしまう。これはほとんどの子供が通る道で、最初の2、3週間は好奇心が勝ってワクワク、ルンルンと過ごすのだけど、その後に必ず「やっぱりママと離れるのは嫌だ」という時期がやってくる。私もこの時期が来るのを予測してたのに、「ママー」と悲痛な声で泣かれると、やっぱり心が砕けてしまう。もちろんそれでも預けて帰ってくるけれど、その後一時間くらいは、悲しい気持ちで過ごすことになる。子供は、というと、すぐにママのことを忘れて楽しく遊び始めるんだけどね。。。
 ともあれ、その朝のお別れの時間以外はご機嫌に過ごしているようで、お昼ごはんも皆と食べて、そのあと小さい子供たちだけでお昼寝をして、その後なんとオマルでおしっこまでしているらしい。(ちなみに家ではまだ成功したことがない。)子供ってたくましいなー、と改めて感じるのでした。写真はトウの登園の格好。リュックには朝ごはんが入っています。

秋の収穫


朝晩の冷え込みが肌に染み込むような感じになってきた。紅葉はまだまだだけど、風はすっかり秋のものだ。秋の収穫物も、木から転がり落ち始めた。幼稚園では皆でクルミ拾いをしたようで、二人のリュックにごろごろとたくさん入っていた。どんぐりもポトポト、というかゴツンと結構ヘビーな音を立てて落ちてくる。どんぐりの木、つまり樫の木は大きなものが多いので、かなりの高さから落ちてくることを思うと、小さいどんぐりでも結構危ないんじゃないかと思う。栗もよく子供のポケットに入っている。散歩の途中に拾うんだろう。
ああー、味覚の秋だ!日本ほどの味覚は期待できないけれど、それでも旬のものを食べるのは楽しみ。そうそう、家のマルメロの実も大きくなって少しずつ黄色くなってきたように思う。2週間ほど前に、実の重みで枝が折れて、半分ほどの収穫が台無しになってしまった。でも残りは順調に育っているようだ。それにしても、折れた枝を見たときはショックで半日ほど黙りこくってしまった。。。いやいや来年からは、もう少し上手に庭の植物の世話も出来ると思う。写真はそのマルメロ。生で食べることはできないんだけど、ジャムにしたり、お肉と一緒に煮込んだりと楽しみはいろいろらしい。早く熟さないかなー、と猿蟹合戦のカニさんの気分で毎日眺めています。

2009年9月12日土曜日

漫画

ここ数日、漫画に読みふけっていた。友人が吉田秋生の漫画を大量に送ってくれたので。ここ4日間ほど、暇を見つけては読んでいた。それで全て読み通してしまった。ふと気づけば、家の中は荒れ放題。必要最低限の家事しかしなかったもんなー。鏡を見れば、顔色も悪いし、頭もぼさぼさだ。睡眠時間も随分削っちゃったからなー。ああー、イカン、イカン。面白い本や漫画があると、生活を忘れてしまうのは私の悪い癖。
で、やはり一番面白かったのは長編ハードロマン『BANANA FISH』。血なまぐさい場面が多いのにもかかわらず、美しさを感じさせる漫画だ。それに比べて『吉祥天女』は陰惨な印象が残る。主人公は似たタイプなのに。『BANANA FISH』の主人公(男)は最後死んでゆくけれど、そこには救いがある。最後まで信じられる友人がいるからだ。『吉祥天女』は主人公(女)が天女として、ただ一人全ての血と憎しみを飲み込んで生き続ける。男と女を主人公にすると、こうも違いがでるものなのだと思う。男の友情は美しい。では、女のは?女の間には友情が成り立たない、なんていう考えはナンセンスだけれど、女の友情って言うのは、美しいお話になりにくいのかな?さてなぜでしょう。それをじっくり考えてみたくなった私でした。

2009年9月4日金曜日

幼稚園

トウが幼稚園に行きだして、一週間ぐらいになる。最初はどうなることかと思ったけど、少しずつ慣れてきたようだ。トウはともかく、先生方ももうあまり興奮していないし、レイも「トウの面倒を見なくては!」とガチガチになっていたのが随分落ち着いてきたように感じる。私の心配もちょっと一段落というところ。
 今朝送った際に、そのままそっとトウを見ていると、皆と一緒にちゃんとテーブルについて、リュックからお弁当箱を取り出し、ぱかっと蓋をはずすと、ハムののっかったパンにがぶり、とかじりつき出した。
私は内心、おおーっと歓声。だって家じゃ、絶対に食べないんだもの。パンの上のハムだけ、ペロンとはがしてもぐもぐ食べると「ハムもう一枚!」と言う。パンは叱られてから仕方なく食べる。なのに幼稚園だとちゃんと食べるんだな。こうやって皆と一緒に生活のルールを覚えられるのは幼稚園の良いところだと思う。